蛇ノ目の記

技術のことも。そうでないことも。

ライブアイドルにとってのオタクと特典会の存在をオタクなりに考えてみた

ライブアイドルというのはライブを主として活動しているアイドルを指す。 ライブハウスが地下にあることが多いことから地下アイドルと呼ばれるようになったらしい。sora tob sakanaライブアイドルである。余談だがメディア出演が多いhogehoge坂系やhogehoge48系は地上やら天空とか呼ばれるらしい。なんだよ天空って。

さて昨今、憎きCOVID-19によってライブアイドルの現場は一変し、配信ライブのみが行われている状況となっている。とはいえ配信ライブの出来に文句があるわけではなく、回を増す事にノウハウが蓄積され、カメラの台数が増えたりスイッチングが綺麗になっているのがわかる。 ただ、もちろんオタクにとっては推しを間近で観れないつらい時期であることは否めない。そしてアイドル側も手応えのなさややりづらさを感じているのだと思う。

劇とは観客自体もその演出の一部に過ぎない - 荒巻課長

攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX 第6話「模倣者は踊る MEME」

さすが荒巻課長いいこと言う。

いくらオタクがマサイ(※1)をかまそうとガチ恋口上(※2)を叫ぼうと、ライブアイドルの演出に欠かせない存在だと思っている。アイドルフェスで元気な若者のオタクが多い現場の最前で何箇所もリフト(※3)が上がっているのを後ろから見ているとすごく出来のいい映画なんかのライブシーンを見ているような気持ちになる。 まあ個人的には最前センターでのマサイや自分の近くで叫ばれるガチ恋口上に対して小言の一つも言いたい気持ちがないわけではないけど。

オタク側から見た"演出としてのオタク"の話をしたけど、アイドル側から見てもオタクには"演出"としての存在感があるのではないか。これまでずっとステージに立ってきた彼女たちにとって、演ったことに対するフィードバックがタイムラグなしに返ってくるのが当たり前で、それが急になくなったのだから少なからずやりづらさもあるだろう。俺はアイドルさんじゃないので知らんけど、Zoomでの勉強会で喋りづらそうな登壇者を目の当たりにしたことがあるので、そうなんじゃないかなと想像している。

特典会もタイムラグなしのフィードバックの延長線上で、ライブの後にオタクから直接伝えられる感想なんかは少なからずモチベーションに繋がっていたのだと思う(オタクとして思いたい)。特典会ってかなりの感情労働であることは否めないわけだけど。

ちなみに特典会(チェキ撮影)も地下アイドル特有の文化で、これが所以で「会えるアイドル」なんて言われ方もする。 「会える」がゆえに感情をオールインする人間も出てくるわけだけど。俺とか。それが「会えなく」なってるんだから、しんどさは筆舌に尽くし難い。

ライブアイドル(会えるアイドル)である以上、特典会もピースの一部で、それが欠けている現状は完全な絵にはなっていないのだと思う。オンライン特典会という形でチェキにサインをもらえる機会があるのはもちろんありがたいけど、やはり会いたい。

なんでこんな話を書いたかといえば、オタク同士の解釈違いがあることが要因の一つといえる。MCでメンバーが「無観客だから緊張しなくて済む」と言ってるのを鵜呑みにしてるとか (自分の推しは)オタクに興味ないからオタクが特典会で応援していることを伝えても塩対応だとか。いやまあ言ってもオタクあってのアイドルなので、ファンとしてのオタクの存在はモチベになってると思うよ?という話。

※1: 推しがセンターに出てきたときに垂直にジャンプすること。その様がマサイ族のジャンプに似ていることからマサイと呼ばれる。推しジャンとも言う。足を踏まれる恐れがあるので少し離れるのが吉。

※2: 推しに対するコールの一種。アイドルグループによっては各メンバーのパートで担当のオタクたちが一斉に叫ぶこともあるが、sora tob sakanaの現場にはその文化はない。

※3: オタクを他のオタクが肩車して持ち上げること。若者オタクの多い現場でよく見られ、彼らのリフトはメンバーの目線と重なるくらいの高さがある。おっさんオタクがやるとバランスが悪くなってしまうのが切ない。sora tob sakanaの現場では見られない文化。